投資でのゼロサム/ノンゼロサムとは何か?

ノンゼロサムとは

ノンゼロサムとは「ゼロサムではない」という意味です。

そして、「ゼロサム」とは「サム」=「和、足したもの」が「ゼロ、0、零」ということです。

つまり「ゼロサム」は、「全て足したらゼロになるもの」という意味になります。ゲーム理論からきている用語です。

「足してゼロになる」状態を指した言葉ですが、この言葉にはもう少し概念的な意味合いがあります。

ゼロサムの状態は人間(大きな意味では生物)が何かを取り合っている状態です。

なぜ人間の取り合いが出てくるかというと、足してゼロになる数字は必ずプラスとマイナスで構成されているからです。

プラスの物や事があり、マイナスの物や事がある。

それらを全て足すとゼロになる状態というのは、実は、人間や他の動物などが自分達に必要な資源を奪い合っている状態以外にはあり得ない状態です。

ゲーム理論は、複数の人間が自分達の利益を得るために行動した時にどういった現象が起こるかを研究した学問です。

そういう目的で研究されたゲーム理論の中で生まれたゼロサムという用語は、人間達の行動を表している用語であってしかるべきです。

 

そして、このゼロサムや、その反対の意味のノンゼロサムという用語が、人間と人間のやり取りから生まれるマーケットやギャンブルの中で起きる現象を表す言葉として使われることも、やはり当然と言えるでしょう。

 

投資の場でのノンゼロサムの意味は?

マーケットの用語としては、ゼロサムは投機的な状態、ノンゼロサムはマーケット全体の成長のような現象を指します。

投資対象の価格が、単にその場の投機的な状態で上がり下がりしている場合にはゼロサム状態だと言えますし、経済が成長している国の株式市場などで全体の時価総額が上がっている状態はノンゼロサム状態と言えます。

言い換えると、投資対象の物やサービスとしての価値が上がっているがゆえに価格が上がっているのならば、その投資はノンゼロサム状態での投資です。

投資対象の価値が変わらないのに、投機的な理由で価格が上がったり下がったりしている状態はゼロサムの状態だと言えます。

全ての人が儲けることが出来る状態がノンゼロサム状態で、儲かった人がいる分、損をした人がいる状態がゼロサム状態です。

デイトレードのような短期的なトレードの結果はゼロサム的な要因が強く、長期の投資なればなるほどノンゼロサム的な要因が強くなります。

現実的には、どのマーケットでも必ずノンゼロサム状態とゼロサム状態が混在しています。

 

投資ではゼロサム要因とノンゼロサム要因を見分けることが重要

 

マーケットでの値動きを分析する場合には、その値動きの要因が、ゼロサム的なことが理由なのか、ノンゼロサム的なことが理由なのかを見分けることが重要です。

その値動きがゼロサム/ノンゼロサムどちらの要因なのかを100%見分けることが出来たのならば、その後の値動きの予想の精度は確実に上がります。

(先ほど書いたように、ゼロサム/ノンゼロサムは混在しているので、現実的にはどちらか見分けるということではなく、両方の影響の割合を算定できるかどうかです。)

なぜならば、ゼロサム的な値動きとノンゼロサム的な値動きは真逆になってしまう場合があるからです。

ある企業の業績が順調に伸びているのに、大口の投資家の利益を確定させるための売りによって株価が下がってしまうことは、よくあることではないでしょうか。

その時の値下がりはゼロサム的な要因と言えます。

 

株式会社の株は、本来はその会社の業績を反映するはずです。

ですが、業績を伸ばした会社の株を買っていても、保有期間によっては損をします。

それはゼロサム的な損です。

ですが、優良な企業の株を何年、何十年と持ち続けることが出来れば、含み益を得られる可能性は限りなく高くなります。

投資は期間が長くなればなるほど、ゼロサム的な影響は小さくなり、ノンゼロサム的な影響が大きくなります。

 

ノンゼロサムへの投資

ノンゼロサム状態への投資のみを行えば、多くの人が確実に利益を得ることが出来ます。

ノンゼロサム状態への投資のみができるのならば、利益が黒字になる会社や商品、サービスなどを予想できれば、そこへ投資するだけで利益が得られることになります。

ですが、金融商品全般はマーケットで売り買いされる中で投資家が購入できるようになっているわけであって、他の投資家が売り買いする中での値段になります。

マーケットで金融商品を買う場合には、その値段には必ず他の投資家との兼ね合い=ゼロサム性が入ってきます。

優良な企業の株価は、すでに他の投資家の投資した分の値段(ゼロサム分の値段)が織り込まれているのです。

 

どんなマーケットのどんな金融商品でも、必ずゼロサム的な要因とノンゼロサム的な要因の両方で値が決まっています。

そして、その割合を100%知り得ることは不可能です。

ですが、その割合をある程度推測することは可能です。

その金融商品の値段が、投機的に値上がりしているだけなのか、もしくは価値に見合った良い値段がついているのかを、大雑把にある程度推測するのです。

そして、本来の価値より低い値段がついているのならばそれを買い、本来の価値より高い値段がついているのならば、それを売るのです。(持ち続ければ、その金融商品の価値が上がっていくのならば、持ち続けるべきです。)

これがノンゼロサム状態への投資です。超当たり前のことですね。

 

これは、当たり前のことではありますが、全ての投資家がこのことを常時100%意識しながら投資ができているわけではないはずです。

概念的には「本来の価値より安ければ買い、本来の価値より高ければ売る」と分かっていても、それを実行手段はいくつもありますし、それを全てできる投資家はあまりいないはずです。

まずは「ノンゼロサム状態への投資」を常に意識する方法を探ることが、当サイトのテーマになります。

 

ノンゼロサム状態を探すよりもゼロサムを避ける方が先

ゼロサムとノンゼロサムは表裏一体なので、ノンゼロサム状態へ投資するということは、ゼロサム状態へ投資してしまうことを避けることと同義です。

ただ、ノンゼロサム状態の投資先を探す方法はなかなか難しいと言えます。

先ほど書いたように、マーケットで金融商品を買う場合は、どんな場合でもゼロサムとノンゼロサムの混ざっている状態になっているからです。

しかし、多くの場合に投資対象の価格はゼロサム的な影響の方が大きいです。

株価の変動する率以上にその企業の実質的な価値が変動しているとは思えません。

株価は短い期間に10%程度の上下はするでしょうが、その期間にその企業の生産性は10%も上下していないはずです。

つまり、一般的な投資対象のマーケットでの価格は、ノンゼロサム的な影響よりもゼロサム的な影響の方が強いわけです。

実質的な企業の価値以上に、その時点での投資家の売買の圧力の方が、株価に強く影響を及ぼしているのです。

 

ということは、ノンゼロサム的な投資要因を探してそこに投資しようとする場合は、ノンゼロサム状態そのものを探すよりも、ゼロサム状態を避けて投資先を探す方が早いです。

ノンゼロサムの割合よりゼロサムの割合の方が多いならば、多い部分の方が見えやすいはずだからです。

 

投資対象の実質的な価値が価格と乖離していればしている程、ゼロサム的な要因が高い価格だと言えます。

ノンゼロサム状態への投資を心がける場合は、ゼロサム的な要因が強いと思われる投資を避けることが近道です。

 

ゼロサム状態を知ればノンゼロサム状態を知る、逆もしかり

ゼロサム状態を詳しく知れば知るほど、その逆のノンゼロサム状態とはどういう状態かを知ることができます。

ゼロサム性が低ければ低いほど、ノンゼロサム性が高いと言えます。

以下に、ゼロサム状態のマーケットとノンゼロサム状態のマーケットの具体的な特徴をまとめてみます。

少しずつ追記して行こうかと思います。

 

ゼロサム状態の強いマーケットの特徴

  • 値動きが不当に激しい
  • 値動きが早い

 

ノンゼロサム状態の強いマーケットの特徴

  • 流動性に対する値動きが小さい

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