チャールズエリス「敗者のゲーム」を読んでみました。
仮想通貨関連の情報を多く発信されているマナさんのツイートを見て読もうと思いました。
【ブログ更新】
妄想175さん@bitmania999 がお勧めしてらっしゃった「敗者のゲーム」、とても面白かったので、市場に負けない知恵を付けたい方にご参考頂ければ。「敗者のゲーム」は仮想通貨投資家にもお勧め
https://t.co/dmCIFNp0gg— マナ@仮想通貨 (@1000crypto) 2018年1月24日
今アマゾンなどで手に入るのは、原著第6版です。
初版は1985年出版らしいです。凄いですね。投資関連本の古典的な教科書という感じでしょうか。
結論は「インデックス投資が最良」
本書の内容は、一貫して「インデックス投資が個人投資家にとって最良だ」というものです。
その結論を出すために、あらゆる角度からのデータ、検証結果、論理的な考察が書かれています。
僕にとって本書の内容は、まったくもって勉強にしかならなかったです。
「知ってた」内容がまったくなかったですね。
いや、でも「やっぱり」とも思ったのですよ。いきなり矛盾してること言っちゃいましたけど・・・
僕の今までの人生経験から、知識としてではなく「なんとなく」感じていたことが確信に変わった感じです。
投資とギャンブルが非常に近いものだと感じられた
僕は最近までずっとパチンコ・パチスロを打って生活してきました。
僕は「多分、投資とギャンブルは似ているのだろう」と思いながら、パチプロをしてました。
なので、「パチンコで勝てるならば株でも勝てるんじゃないか?」と思い、株もやろうと何度も思いました。
株をやろうと思って、株関連の本を何冊か読んだことはありましたが、結局は今までやらずじまいになってました。
やらなかった理由は、単純にめんどくさかっただけです。
本を読むのは好きなのですが、実際に何か新しいことを始めるのには腰が重い僕の性格です・・・
話を戻します。
僕が本書を読んで投資とギャンブルがとても近いと思った理由は、著者が「ミスターマーケット」と名付けた現象からです。
簡単に言うと、本当の価値(こちらは「ミスターバリュー」)とは対照的な現象=ミスターマーケットに、多くの市場参加者が振り回されているということです。
ミスターマーケットとは、テクニカルやファンダメンタルな情報を駆使して、市場平均成長以上に勝とうとする誘惑です。
これは、完全にギャンブル場で起こっている現象と同じです。
ギャンブルは著者が言うミスターマーケットのような存在が全てです。
どんなギャンブルでも、全体での期待値はマイナスに設定されている(つまり、胴元が勝つ仕組みになっている)のですが、そういった基本的な部分以外の局地的な勝ち負けによって、ギャンブラーたちは踊らされているのです。
ミスターマーケットが存在するからこそ、損をするとわかっていても、ギャンブルを楽しむ人が存在するわけです。
初心者は元より、プロを含めたほとんどの人が、このミスターマーケットに踊らされています。このことも、投資の世界と同じようです。
本書では、ミスターマーケットは無視をして、ミスターバリューのみを相手にすべきだと説いています。
ギャンブルでも、ミスターバリュー=期待値のみを相手にすべきです。そうすると、パチンコのような私営ギャンブル以外はすべきでないということになります。
「敗者のゲーム」の意味は?
エリスは株式市場のことを「敗者のゲーム」と呼んでいます。
「敗者のゲーム」とは、積極的・攻撃的に勝ちに行ったものが高得点を得るゲームではなく、ミスを無くし堅実にゲームを進めた者が高得点を得るゲーム、という意味です。
本書でインデックス投資を勧める理由は、リスクを分散させるという目的よりも、こういった「ミスを無くし堅実にゲームを進める」ための投資法だと説明されています。
余計なことをすればするだけ損をするよ、ということです。
このことも、僕がパチンコを打って生活した上で、多くの身に覚えがあります・・・
ただ、余計なことをすると損をする理由については、市場とギャンブル場では異なりました。
市場で余計なことをして損をする理由は、市場は周りのプレイヤーたちとのゼロサムゲームだからです。
そして、市場のプレイヤーは、多くの場合、資金も情報もテクニックも全て持ち合わせたプロフェッショナルばかりです。
いわゆる機関投資家たちです。
市場で市場平均以上の成果を出そうとするならば、機関投資家たちを出し抜く必要があります。
機関投資家よりも早く良質な情報をつかみ、彼らよりも上手いやり方で、彼らよりも潤沢な資金をもって市場に挑む必要があるわけです。
それは無理というものです。
そして、下手にそれをしようとすると、遅きに失するわけです。
何もしないよりも、損をしてしまう可能性が出てくるのです。
テニスの例え
エリスは「敗者のゲーム」を本書でテニスに例えています。
「初心者のテニスでは、強く打ち込もうとするとミスをして相手の点になる。つまり、やさしく返した方が勝つ確率が高い」と。
この例えはとても分かりやすいと思います。
ですが、僕は学生時代にバレーボールをやっていて、僕には「敗者のゲーム」はバレーボールに例えた方がもっと分かりやすいような気がします。
多分ですが、日本人ならば、テニスよりバレーボールの方が学校の授業でやったことのある人の方が多いでしょうし。
バレーボールに例えた説明は単純明快です。
初心者がバレーボールをする場合、サーブが来たら、そのまま相手に返した方がいいです。
多分これで、多くの人がピンとくるんじゃないでしょうか。
バレーボールは自陣でボールを3回まで触っていいルールです。普通はまず相手からくるボールをレシーブして、次にボールを上にあげるトスをして、最後にジャンプをして相手陣地に強く返すアタックをします。
レシーブもトス初心者にはとても難しいです。ましてやアタックなど初心者が打てようはずもありません。
何かバレーボール的なことをしようとすればするほど、相手に点が入る可能性が高くなります。
なので、少し頭の良い人は、学校の授業でやるバレーボールでは1回で相手陣地にボールを返そうとします。
そして、「そんな無粋なことをするな!」とブーイングをくらうことになります・・・
銘柄を決める前に
本書の論旨は「敗者のゲームでは余計なことをするべきではない」ということと、「そのためにはインデックス投資が最善」ということです。
さらにもう一つ、僕が読み取れた論旨を加えるならば、「そもそも投資を始める前に、投資の目標と許容リスクをはっきりさせるべき」ということです。
しつこいですが、このことも、僕がパチンコ屋で日々感じていたことと、とてもよく被るような気がします。
パチンコ屋の一般的なお客は、好きな時間にパチンコ屋に来て、自分の好きな機種を好きな金額だけ打ち、満足したりがっかりしたりして好きな時に帰っています。
パチプロと呼ばれる人達は、この真逆の行動を取ります。
パチプロは朝一からパチンコに来て、自分の好きな機種ではなく、その店の勝てる可能性の高い機種を打ちます。
その台を、いくら負けようがいくら勝とうが打ち続けます。そして、感情をあまり出さずに打ち続けます。
パチプロは打ち始めた台を途中で打つのを止めるくらいなら、最初から打たない人が多いです。
打つ前に、その台のリスクとリターンを正確に予想して、打つか打たないかを決めているのです。
市場への投資とギャンブルでは、得るべき情報や学ぶべき技術はまったく違うかもしれません。
ですが、より根本的な部分、特にプレイヤーの心理的な部分では、必要とされるスキルが非常に似ているのかもしれません。
まとめ
「敗者のゲーム」や「ミスターマーケット」は投資家にとって、その戦略を磨くための重要な概念ではないでしょうか。
エリスは本書で具体的なデータを多く引用しますが、それらは全て、これらの重要な概念への架け橋です。
市場では、まったく同じ場面は2度と回ってきません。
その場その場で、プレイヤー一人ひとりが、投資をするかしないか、するならばどうのようにするかを決めるしかないです。
なるべく多くの概念=投資家にとっての武器を持つことが、マーケットで生き残るための助けになることは、僕が言うまでもないことではないはずです。
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